【センス博士の今週のトピック】Vol. 5
ピラミッドは純白の宝石だった?古代エジプト人が隠した本当の色!
私たちが、エジプトと聞いて、真っ先に思い浮かべるあの雄大な砂色のピラミッド。 何千年も、砂漠の厳しい環境に耐え、そこにあり続けてきた人類の偉大な遺産です。
…ですが、もし、その私たちが知っているピラミッドの姿が「経年劣化」によって輝きを失った仮の姿だとしたら? そして、建設された約4500年前の、その本来の姿は、雪のように真っ白で、太陽の光を浴びて、まばゆいばかりに輝く、巨大な「光のモニュメント」だったとしたら…?
今回は、最新の研究が解き明かすピラミッドの失われた、本当の「色」の謎に、迫ります

純白のドレス「化粧石」
最新の研究では、ギザの大ピラミッドなどが建設された当初は、「化粧石」と呼ばれる、非常に高品質な白い石灰岩で、完全に、覆われていたことが分かっています。 特に、ナイル川の対岸にある**「トゥーラ」**という採石場から、わざわざ運ばれてきた、純度の高い石灰岩は磨き上げると、雪花石膏(アラバスター)のように滑らかで、純白の輝きを放ったと言われています。
4500年前のエジプトの、灼熱の太陽の下で、この純白の巨大な三角錐が、どのように輝いていたか。想像するだけで、鳥肌が立ちますね。
頂点で輝く、黄金の「キャップストーン」
さらに、ピラミッドの頂点には「キャップストーン」または「ベンベン石」と呼ばれる、四角錐の、石が置かれていました。 これには金と銀の合金である**「エレクトラム」**などが、貼られていたという説が有力です。 純白のピラミッドの頂点で、黄金のキャップストーンが太陽の最初の光を受け、そして最後に夕日を反射する。それはまさに、神の存在を感じさせる、荘厳な光景だったに、違いありません。

失われた輝きと、デジタルでの「復活」
では、なぜその美しい白い化粧石は失われてしまったのでしょうか。 14世紀に、エジプトを襲った大地震によって、多くの化粧石が剥がれ落ちてしまいました。そして、その高品質な石材は、地震で破壊された近くの都市カイロのモスクや、要塞を再建するための建築資材として、持ち去られてしまったと言われています。
しかし、現代の私たちは幸運です。 ハーバード大学などが中心となって進める**「Digital Giza」**プロジェクトのような、最新のデジタル技術によって、失われたピラミッドの、本来の姿を私たちは追体験することができます。 これらのサイトでは、建設当時の、ピラミッドの姿が驚くほどリアルなCGで再現されており、まるで、タイムスリップしたかのような、感動を、味わうことができます。
ピラミッドは、単なる王の墓ではありませんでした。 それは、古代エジプトの最高の技術と、美意識が結晶した、巨大なそして、輝く、アート作品だったのです。