センス博士の今週のトピック】Vol. 7
宇宙線が、ピラミッドの「未知の部屋」を暴いた?日本の科学者チームの壮大な挑戦
ピラミッドの内部には、まだ私たちの知らない秘密の空間が隠されているのではないか…? 何千年もの間、世界中の考古学者や、冒険家たちが追い求めてきたロマンあふれる謎。
この、人類史上の巨大なミステリーに、日本の科学者チームが、全く新しい角度から光を当て、世界を驚かせたことをご存知でしょうか。 彼らが、武器として使ったのは、ツルハシでもドリルでもありません。遥か遠くの銀河から、地球に降り注ぐ、**「宇宙線」**でした。

ピラミッドを「レントゲン撮影」する、驚きの技術
2015年に始動した、国際共同プロジェクト**「スキャンピラミッド(ScanPyramids)」**。 このプロジェクトの、日本チーム(名古屋大学など)が、注目したのが「ミューオン」という素粒子です。
ミューオンは、宇宙から常に私たちの体や、建物を突き抜けて、地上に降り注いでいます。そして、分厚い岩盤などを、通り抜ける際に、少しだけ数が減る、という性質を持っています。 この性質を利用し、ピラミッドの内部に特殊なフィルムを設置して、通り抜けてくる、ミューオンの数を観測することで、内部の密度を分析。まるで、ピラミッドを巨大なレントゲン装置にかけるように、その内部構造を透視したのです。
発見された、「巨大な、未知の空間」
そして、2017年。 研究チームは、ギザのクフ王の大ピラミッドの中心部に、これまで、誰にも知られていなかった**長さ30メートル以上の、巨大な未知の空間(The Big Void)を発見したと、権威ある、科学雑誌「Nature」に発表。世界中を、驚愕させました。
この「隠し部屋」が、何のために作られたのか。まだ、その全ての謎は解明されていません。 ですが、この発見は古代の神秘的なアート作品(ピラミッド)と、現代の、最先端の科学技術が、出会うことで私たちが、歴史をどれほど、新しく、そして、深く知ることができるかを、雄弁に物語っています。